ラグビーで超重要なセットプレーであるラインアウトですがルールについて良く分からない人も多いと思います。
このページではラグビーのラインアウトとはなにか、ルールやリフト・戦術・投げ方など一通りの解説をGoogleの検索結果の中で最も分かりやすく解説させて頂きます。
ここに書いてある事をざっと読むだけでも試合のラインアウトが楽しくなります!
熊谷のラグビー場が強風すぎて、高校時代の全国選抜大会でボールが4mくらい右に曲がって超絶理不尽なノットストレートを取られた経験がある私が今回、この記事をお送り致します。
ラグビーのラインアウトとは|ルール
ラグビーのラインアウトとは|基本
ラグビーのラインアウトとはボールが外に出た場合に行われるセットプレーです。普段のプレー中やフリーキックの場合に蹴って外へ出た場合、出た位置の相手ボールラインアウトでプレーが再開されます(ダイレクトタッチは除く)。
フリーキックに関してのルールを先に知りたい方は以下の記事をご覧ください!
>ラグビーのフリーキックとは【ペナルティキックとの違い|ルール】
ラインアウトをやる選手は基本的にフォワード(背番号1-8番)の選手で、多くのチームではフッカー(背番号2番)の選手がボールを投げ入れるスローイングを任されます。
そしてタッチラインの5mから15mラインの間に各選手が並びます。
ラインアウトでのポジション別の役割は次の項で解説致します。
ラグビーのラインアウトとは|ポジション別の役割
まず初めに、ラグビーのポジションを振り返るとこんな感じになっています↓
この背番号1-8番がフォワードで、このメンバーで基本的にラインアウトをやっていきます。
そして状況やチームによって多少変わるという前提ですが、ラインアウトにおけるポジション別の配置や役割の基本は以下の通りです↓
残念ながらラグビーは平等ではありません。
1番と3番は飛べません(本当はちょっと飛びたい)
背の高いロック(4番と5番)が中心となり、4-8番の選手が飛んだりリフトしたりする形が一般的です。
従って、ラインアウトにおける1番3番のポジションはリフトのみ、2番のポジションはスローイング(投げる人)、4番以降のポジションの選手は飛ぶかリフトの選択肢があり、相手にボールを取られないように注意しながらリフトしてボールを獲得していきます。
ラグビーのラインアウトとは|オールメンやショートラインアウト
ラグビーのラインアウトでは攻撃側が人数を決める事が可能です。
先ほど上記で載せた画像のようにフォワード全員が参加するラインアウトは「オールメン」や「オール」などと呼ばれてます。
ラインアウトのオールメン以外で多く使われるのはファイブメンで、7:7のオールメンに対して5:5となります。高校生の試合などで、ずば抜けて背の高い選手がいる場合には3:3の直球勝負をする事もあります(経験談)。
このように人数の少ないラインアウトはショートラインアウトと呼ばれます。
上記図の通り、この場合には3番の選手が前と後ろの両方でリフト出来るように中間の位置にいる事が多いです。
ファイブメンの場合にはボールをキャッチしたらすぐにバックスへ展開する事が多く、その部分は次の項で解説します。
基本的に、ゴール前ラインアウトは絶好のトライチャンスです。
トライについて事前にもう少し知りたい人は、先にこちらの記事をご覧ください↓
ラグビーと言えばトライです。しかしトライとはなにか、意味や基本ルールについてまだ分からない人も多いと思います。どんな場面でトライが狙えるのかを知るだけでもラグビーを見るのが3倍楽しくなります。個人的にスクラムトラ[…]
ラインアウトはゴール前だとオールメンが多い理由
ラインアウトはゴール前だとオールメンを選択する事が多いです。
その理由としてはすぐにボールを回すよりもモールで一度攻めた方が安全且つトライに繋がる可能性が高いシチュエーションが多いからです。
この時、ラインアウトからモールで攻める場合にファイブメンを選択しない理由は敵のディフェンス距離にあります。
基本的にラインアウトの場合、ディフェンス側はフォワードの選手から10m後ろに離れなければなりません。
上記のように10メートル離れるのが普通のディフェンス距離で、これより近付いてしまうとオフサイドの反則を取られます。
しかしながら、ゴール前の場合にはトライラインがディフェンスの許容位置となります。
即ち、ゴール前だと相手ディフェンスの距離が近いんです。
バックスとしても、ボールを回しても普段より相手の位置が近いため、なかなか攻撃し辛い状況です。
また、フォワードとしても、オールメンと違ってゴール前でファイブメンを選択してモールを組んだとしても、相手のフォワードで抜けた2人(上記だと5番と8番)がすぐ近くにいて距離的にモールへ合流されやすい為、数的優位を活かしきれないことからゴール前ラインアウトはオールメンが多くなります。
ラグビーのラインアウトとは|掛け声とサイン
ラインアウトでは掛け声やジェスチャーでサインを出してスローイング、リフト、ジャンプのタイミングを合わせます。
事前にラインアウトが始まる時には全員でサインを共有している事もあります。
(ワールドカップではこのケースが多かったですね!)
この時、サインを掛け声でやる場合にはスロワーかジャンパーどちらかで数字などを叫びます。
例えば最初の2つの数字を合計して末尾の数字が1-3なら前、4-6なら真ん中、7-9なら後ろ、という感じです。
サイン【1234】であれば1と2の合計値3で前で飛ぶという意思疎通ができます。
サイン【6815】であれば6と8の合計値14で末尾4なので真ん中で飛ぶ、という感じです。
基本的にラインアウトでは取りたい位置に合わせるか、相手のいない位置に合わせるか、どちらかです。サインの場合にはジャンパーがスロワーに向かって手を挙げた瞬間に投げ入れたりと、チームによって大きく出し方は変わります。
サインを言った後、敵の動きを見てサイン解消で急遽別の場所へ投げる事もあり、かなり集中しなければサインミスとなるのでラインアウトは入念な練習が必要です。
ワールドカップの場合に多く見られたのは、事前にサインの場所を決めておいてセットするタイミングで、1番の選手がスロワーの2番の選手のところへ行きサインを伝えるというやり方です。
ちなみに飛んだ位置によってはノット1メートルなどの反則になってしまう為、この反則について知りたい方は一度下記記事をご覧になってみてください!
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ラグビーのラインアウトとは|リフト編
ラインアウトのリフトで持ち上げた高さ
ラインアウトのリフトで持ち上げられる高さってご存知ですか?
ラインアウトは高身長且つ手の長い選手3人でやると4.5メートル前後の高さになります。
今度機会があれば、上げてもらってみてください。
異常な高さが分かります。
この記事を書いてる筆者はジャンパーデビューしたくて同期にお願いして3回くらい上げてもらった事があります。しかし
「重すぎ」
「マジで持ち辛い」
など言われて、それ以降、上げてもらえる事はありませんでした。
ラインアウトのリフト|持ち上げ方
ラインアウトのリフトの持ち上げ方について簡潔に解説します。
注意:素人の人がリフトするのは危険なので絶対にやめましょう。
リフトでは後ろの選手はお尻あたりを掴むか、手を置いて一気に真上へ持ち上げるイメージとなります。前の選手は膝上を掴んで後ろの選手が上げるのをサポートする形になります。
息が合うと女性でも簡単にリフトが出来ます↓
マッチョになると1人上げも可能になります↓
繰り返しになりますが素人でリフトすると上げた方は腰を痛めたり、飛んだ方は捻挫したりする可能性があるのでやめましょう。基本的に全員が特殊な訓練を受けています。
ラグビーのラインアウトとは|最高到達点でキャッチ
ラインアウトで重要なのが最高到達点でキャッチするという事です。
これはサインに応じて、ボールのスローイングとジャンプのタイミングを合致させる必要があり、リフトのスキルとスローイングの両方で高いスキルが求められます。
最高到達点を心掛ける事で、相手に取られない安全な領域でキャッチする事が可能になります。
この緑チームが良い例ですね↓
このラインアウトの光景はラグビー14の試合です。
(Rugby match of Guinness Pro14 championship between teams Benetton Treviso vs Glasgow Warriors.)
上記では黒チームより高い場所でリフトしている為、あとはボールの位置さえ正確であればマイボールを維持する事が可能です。
ラグビーのラインアウトとは|タイミングも重要
最高到達点の解説時に、ボールのスローイングとジャンプのタイミングを合致させる必要が大事と話しました。
これはラインアウトのリフトで上げ続けていてはダメというルールがあるからです。
リフトで上がり最高到達点に達した瞬間にその部分へボールが届くのが理想的なラインアウトです(かなり難しいですが・・・)。
早すぎるとリフトを下げなければなりませんし、遅すぎると最高到達点に達する前にボールが頭上を通り過ぎてしまいます。
ラインアウトで敵チームのリフトが遅くて自分のチームのリフトタイミングが完璧だった場合にはこのような感じになります↓
これはプレミアシップでのラインアウト画像です。
(Tom Wood of Northampton Saints secures a line out ball during the Gallagher Premiership Rugby match between Northampton Saints and Worcester Warriors)
上記の場合、敵チーム(白)のリフト位置がもっと後ろで、且つタイミングも更に早ければ、ボールを奪えた可能性があります。
ラグビーのラインアウトとは|戦術編
ラグビーのラインアウトは単に並んでサインを出して飛んでモールor展開というだけではありません。
ラインアウトには様々な戦術がありますので、ここではその一部を紹介したいと思います。
この部分を知る事でボールがタッチラインの外に出て、ラインアウトとなった場合に注目できる部分が増えるので観戦が更に楽しくなります。
ここまで読まれて「少し疲れたなぁ」という場合、息抜き程度にコンバージョンキックのページをご覧ください!
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ラインアウト開始と同時の戦術(ウォークイン)
ラインアウトにはウォークインという戦術があります。
最初から並ぶのではなく、ゾロゾロと並びにいき並び終わった瞬間に事前に決めていた場所で素早く飛んだりします。
これをウォークインと言います。
ウォークインのメリットとしては相手に動きを読まれ辛い為、空いている部分でしっかり飛ぶ事が出来ればボール獲得の可能性が高い事です。
一方、デメリットとしては事前に決めていた場所で相手が張っていた(飛ぼうとしていた)場合、サインを仕切り直す必要があり、そのまま飛ぶと取られてしまう可能性が高くなる事です。
ラインアウトをしない戦術(クイックスロー)
ボールがタッチラインに出た場合、必ずしもラインアウトで再開しなければならない訳ではありません。
相手が蹴り出したボールをウイング(11番・14番)やフルバック(15番)の選手がキャッチして、すぐに中の選手へパスをした光景をご覧になった事がある人も多いのではないでしょうか?
あれはクイックスローと呼ばれるもので、ラインアウトをせずに試合を再開する事が出来ます。クイックスローができる選手のポジションなどの条件はありませんが、状況的にウイングやフルバックが多いです。
但し条件があり、蹴り出したボールがグラウンド外の物や人に当たった場合、クイックスローで再開する事は出来ません。その場合にはラインアウトでの試合再開となります。
ラインアウト中の戦術(オーバーボール)
ラインアウトは5mと15mの間でキャッチするのが原則ですが、敢えてボールを15mラインを超えるように投げるオーバーボールという戦術があります。
これは相手の不意を突くサインで、オーバーしたボールを事前に決めていた人物がキャッチするものです。
オーバーボールのメリットとして敵の少ないゾーンを攻めれたり、次回以降のラインアウトで相手の注意を後ろに向けられる事が挙げられますが、高いスローイング精度が求められたり、相手の反応が早いと取られる危険もあるので一長一短なサインです。
注意点として、スロワーがボールを手からリリース(離す)される前に動き始めてしまうと反則になる為、動き始めるタイミングが結構シビアです。
ラインアウト後の戦術(ピールオフ)
ラインアウトでジャンパーがキャッチしたあと、モールを組まず、バックスにもモールを回さず、ラインアウトに参加している選手へボールを渡して攻める戦術があり、これはピールオフと呼ばれます。
例えば、このように前で4番の選手が取ったボールがあるとして、
↓
上記のような形で走り込んできた選手(上記例だと8番)へパスをして攻める事です。
もしこの時、相手の1番4番3番がリフトしていたらバックスのディフェンスはいるもののトライチャンスとなります。
ゴール前のラインアウトだと色々な選択肢があるので、状況に合わせて適切なサインを使う事が大切です。
【小ネタ】試合前に相手へラインアウトサインをアピール
大学や高校レベルだと試合前のウォーミングアップでラインアウトの確認をしている際、相手のメンバー外選手などが遠くからサインを見に来る事があります。笑
なのでメンバー外の選手で練習を囲って見えないようにしたり、敢えて大きな声でサインを言うものの本番では全く違うサインを使ったりと微妙な心理戦が繰り広げられます。
ラグビーのラインアウトとは|投げ方編
ラグビーのラインアウトでボールってどうやって投げているのか気になる人も多いと思います。
基本的には右利きの場合はこの持ち方です↓
(左利きの場合には左右の手が逆になる事が多いです)
この投げる事をスローイングと言いますが、結構これは奥が深く、選手の筋肉量や手の大きさなどによって様々なフォームがあります。
基本的には左手を添えて右手で投げる感覚ですが、選手によって大きく変わる為、試合では都度チェックしてみると面白いです。
ラインアウトはまっすぐ投げ入れないとだめ
ラインアウトはまっすぐ投げ入れないとノットストレートの反則を取られてしまいます。
ノットストレートはラインアウトだけでなく、スクラムでも存在している反則なので宜しければこの機会に下記記事もご覧ください。
>ノットストレートとは【基準や許容範囲も|ラグビーのルール解説】
【小ネタ】ボールを遠くへ投げれるようにする方法
今後、色々な選手を取材して記事にしようと思っていますが、小ネタとして少しお伝えしたい事としてはスローイングでボールを遠くへ投げれるようにする方法はベンチプレスがおすすめです。ベンチプレスを続けると明らかに飛距離が伸びます。
逆にベンチで筋肉を追い込んだ後に練習でスローイングすると全然ボールが飛ばず迷惑がかかるので注意が必要です。
ラグビーのラインアウト|反則について
ラインアウトの反則は、ざっと以下のようなルールが存在しています。
・クイックスローインの邪魔をすること
・ラインアウト時にスローイングの邪魔をすること
・ラインアウトを遅延させること
・ラインアウトのディフェンスで人数が多すぎること
・ノット1メートルとノット5メートル
・ラインアウトで真っ直ぐ投げないこと
・スロワーがダブルモーションすること
・スロワーはラインアウトで線を超えること
・ジャンパーが両腕を上げず片腕だけでキャッチ or パスすること
・ずっとリフトし続けること
・ラインアウトでのオブストラクション(妨害)
・ラインアウトでのオフサイド前半
・モールを崩すこと
・ラインアウトでボールを投げる前にリフトすること
・ラインアウトでボール以外へアクションすること
・ラインアウトでリフト中の選手へプレーすること
・スロワーがスローイング後、規程以外の動きをすること
気が遠くなるような数の反則がありますが、全て1つ1つ解説してまとめた記事を作りましたので是非、この記事と合わせてご覧ください!
>ラグビーのラインアウトルール|反則別解説
ラグビーのラインアウトとは【まとめ】
今回はラグビーのラインアウトについてルールや戦術を中心に色々とまとめさせて頂きました。
ラインアウトは簡単そうに見えてタイミングが非常にシビアあったり、極めて正確なスローイングが要求されたりと、難しくて奥が深いプレーです。
ラグビーはルールが難しいと言われていますが、少し覚えるだけで一気に見る方もやる方も楽しくなりますので、是非、今後も色々と知ってもらえれば幸いです!
ノーサイドTVでは日本を必ずラグビー世界一の国にする事へ本気でチャレンジします。
今後もご声援のほど、宜しくお願い致します。
是非、他の記事もご覧下さい!